― 生まれてはじめてカベの練習をしたって、酒井選手が言っていましたが。
ありましたねー。絶対、逃げるんじゃないぞってドカーン!ってボールをぶつけられて。いじめですよ、きっと。(笑)めちゃくちゃやられましたよ。特に僕は。
― 特に3バックの一人だったから、徹底的にラインの練習をしたんですよね。
やりましたよ。ウェーブ。前の選手は比較的自由にやっていましたけど、ディフェンスは厳しかったですよね。ホンマに毎日、同じ練習の繰り返しで。
― そんなトルシエ監督の印象は?
怖かったけど、僕にとっては大きかった人ですよね。今までやったことがないようなサッカーを教えてもらえて。これだけチームが同じ考え方をもたないと出来ないというような意識付けもそうなんですが、自分の中ではすごく大事だったし。怖かったけど、感謝もしています。
― あの戦術は、あの大会ですごくはまっていましたよね。
はまっていましたよ。決勝くらいですからね、やられたのは。まあスペインとは個々の力の差もあったんですけど。それまでは、相手も強いなって感じだったんですけど、大丈夫だなって。やっていても感じました。
― 曽ケ端選手がスタンドで見ていて「これは行けるな」って思ったって話していました。
やっている僕らはしんどかったですけどね。(笑)僕らディフェンスは前がなんとかしてくれるやろって思っていましたからね。1点くらい取られても、前があれだけ揃っていれば、大丈夫やろって。
― 確かに個人のスキルの高いチームでした。
後ろから見ていても、ホンマに楽しいサッカーでしたね。なかなか、あんなチームと出会えないと思いますよね。
― もう一度、あのチームでやってみたいって思いますか?
やってみたいですね。面白いですよね、あの時のメンバーだったら。
― お客さんは入ると思いますよ。監督がフィリップ・トルシエだったら、さらにいいですよね。
いいですねー! また怒られながらね。(笑)あの時のメンバーはみんな頑張っているし、僕はちょっとヤバイですよね。
― ナイジェリアで孤児院に行った印象はありますか。
ありますよ。僕らがどれだけ恵まれた環境で育ってきたか、実感することができました。大変だなあって。テレビでもやりますよね。アフリカの親がいない子どもたちとか。そこでサッカーをして見てもらえただけでもいいんじゃないでしょうか。
― ナイジェリアのお客さんは盛り上がっていたよね。
めっちゃ盛り上がっていましたよね。日本はテクニックを見せていましたからね。特に本山が間違いなく受けていましたよね。それは今でも覚えています。一度、お客さんが乱入してきましたからね。うおーっ、やばいぞ、逃げろーっ! って。

― 大会自体はどうでしたか? いろんな選手が出ていたんですが。
シャヴィ、ガブリ、プジョル。シモンも出ていましたね。
― イングランド戦で後半からでっかい選手出てきたでしょ。ピーター・クラウチ。
いましたねー、でっかい選手。あれクラウチですか? 覚えていますよ。でっかいなあ、でも、あんまり上手くないなあって。
― その中で準優勝ですからね。
そうですよね。ほんまにしたんかなあ?(笑)でも、自分の経験の中では、今までで一番いいチームだと思います。
― アフリカでの経験は、自分のどんなところに影響していますか?
生活的な部分ではあまり変化はないんですが、サッカーの部分で、いいサッカーをしてきたと思っています。このぐらいの年になってきたら、いろいろな人に聞かれるんですよね。そんな時や、将来指導者になった時に、トルシエはどんな指導をしていたんだって、少しでも広げていけたらいいなって思います。
― また指導を受けたいと思いますか?
それはもちろん。機会があるんやったら。厳しすぎるところもあったけど、チームをまとめる力があったんじゃないでしょうか。強引にまとめる方向に持っていこうとしていたというか。勝った時は、みんな監督も含めてドンちゃん騒ぎでしたからね。そういう関係になれるというのもなかなかないですし。とにかくインパクトのある監督でした。あの経験があったから、今でもなんとかやれていると思うんです。
― ありがとうございました。
【取材・構成】 SHAPE 豊田 英夫 |