J開幕当初のように、常に満員のスタジアムでプレーすることは全選手の希望でもあり、サッカー界が望んでいる理想の姿でもある。そこで、そんな理想に近づけるための「サッカー人気向上案」を、全チームに訪問して選手側からの視点で自由に語ってもらった。どんなアイディアが出るのか、ご期待ください。
― サッカーの人気を上げていくためには、どんなことが必要になるでしょうか。
平井 京都って難しいんですよね。僕はずっと京都だから他の地域のことはわからないんですけど、京都にはいろいろな楽しみがあるんです。大阪まで30分で行けるし、他の地方都市に比べると刺激があるので、なかなかサッカーに目を向けてくれないんです。イベントをすれば、けっこうお客さんは来てくれるんですけどね。でも、サッカーを見に行くんだったら、映画を見に行くとか、違うところに行くって感じでしょうか。
― 寺を見に行くとか?
平井 いや、地元の人間は、寺は見に行きませんよ。(笑)それに野球の人気も強いんですよね。子どもは特に阪神。サッカーをしている子はあんまり見かけません。ちょっと寂しいですよね。
倉貫 僕は京都にきてまだそんなに経っていないのでよくわからないですけど、もっとチームが面白いサッカーをしなくちゃいけないと思うんです。今はもっともっと良くしていこうとする段階で苦しんでいるところだから、それを脱皮して、お客さんがもう一回見たいと思えるサッカーになっていけば、いいんじゃないかって思います。
― ファンとの係わり合いはどうですか?
平井 ファンとの交流はちょっと少ないかも知れませんね。
倉貫 甲府時代に試合会場でオークションをやりましたけど、けっこう人気があったみたいですよ。
平井 そういうのも、いいかもしれんね。
― こういう仕事は誰が仕切るんですか?
平井 斉藤かな。…でも、あいつは「今年の選手会長は平井さんですよ」って言うんですけどね。
倉貫 俺が「選手会長って誰?」って聞いても「平井さんちゃうの?」って言ってたけどね。
― 名簿上でも平井選手になっていますけど!
平井 うっ…。(笑)でも、そういう地道なことをやっていかないとだめですよね。
倉貫 甲府はイベントめっちゃ多かったもん。
平井 京都は最近少ないんですわ。3年前くらいは頑張っていたんですけどね。
― イベントやスクールが少ないと厳しいですよね。
平井 スクールとかに子どもが来てくれれば、晩御飯の会話になるじゃないですか。次には見に行こうかって話にもなるんじゃないかって思うんですよ。サッカースクールで仲良くなった近所の子どもたちは、「次も見に行くよ」って言ってくれますからね。
倉貫 今年はあまり試合に出ていないから、まだ知り合いを呼んでないなあ。
平井 そやな。これからやな。でも、普通、ケガしているとあんまり見に来ないじゃないですか。僕の父親なんて、ケガして出ていないのにもかかわらず、絶対に来るんですよ。僕、3年間ずっと試合に出なかったんですけど、その時からずっと試合を見に来てくれているんです。チームを応援してくれているんですよね。そういう人がもっと増えないといけないですよ。おかんは僕がスタメン外れると来ないんですけど、おとんはどんな時でも絶対に見に来てくれました。
倉貫 確かに、そういう風にチームを応援してくれるのってとても大事やね。
平井 正直、今は我慢の時かなって思うんですよ。僕の子どもの頃ってみんな野球だったんですよ。阪神の帽子をかぶって、学校に来ている人が多かった。親が好きなんですよね。夜はテレビでナイター見て、阪神対巨人を見に甲子園に連れて行かれたりして。そうすると自然と野球が好きになるじゃないですか。親がそういう世代だからしょうがない。でも僕らが親になったら、サッカーばっかりになると思うんですよ。最近でもすごく増えているし、僕らが親父になった頃にはもっと増えると思うんです。
倉貫 ながーい目で見てるなあ!(笑)
平井 百年構想ですから。(笑)
倉貫 そういう意味でも、やっぱり下から育てていかないといけないよね。そうなるためには、イベントやファンとのコミュニケーションも大事だけど、俺はサッカー選手だからサッカーが一番大事だと思う。なにがあってもサッカーが一番。それが本業だからね。垣根を取り外すことも大事だけど、「また、見に来たい!」って思わせるようなサッカーをすることが一番大事。
平井 負けても面白いサッカーの方が人は来るよね。
倉貫 俺が初めて甲府に入った年の雨の日の試合で、800人って入場者の時があった。
平井 でも今は10000人越えているよね。おじいちゃんが孫連れて見に来ていたりするもんな。
― 倉貫さんの思う、面白いサッカーとはどんなものですか?
倉貫 人によってサッカー観って違うわけだから、好みってあるじゃないですか。俺はこういうサッカーが好きだ、とか。だから、まずチームの色を持つのがいいんじゃないかって。京都だったらこういうサッカーをする。そのサッカーが好きな人は見に行けばいいし。楽しいのもそうなんだけど、感動するサッカーというのが一番いいと思うんです。必死にやっている姿を見て、自分と重ね合わせることが楽しみでもあるから。ファンレターとかでも「必死でやっている姿を見て、私も勇気づけられました」とかあるんですよ。そういう気持ちを持ってもらうのが一番いいんじゃないかと思うんです。そうするためにはピッチで全てを出し切らなきゃいけない。
― みんな中山雅史選手のように…。
倉貫 プレースタイルは違いますけどね!(笑)
平井 気持ち的にはね。(笑)
倉貫 俺も含めて、みんな一生懸命やっているんだけど、もっとやれるんじゃないかって部分はありますよね。慣れてくると甘えが出てくるからね。そこを乗り越えていけば、もっとお客さんが来てくれると思います。
― ありがとうございました。